高齢者の栄養について
「食べること」は、からだの元気のもと。専門職の監修のもと、公的な資料を基礎にした情報をお届けします。(最終確認: 2026年9月・監修: 管理栄養士)
体重の変化に気をつけましょう
高齢期の体重減少は、体力の低下やフレイルにつながる大切なサインです。厚生労働省の「基本チェックリスト」では、「6か月間で2〜3kg以上の体重減少」が生活機能低下のリスク判定項目のひとつに挙げられています。
| チェックの目安 | 6か月間で2〜3kg以上の体重減少があった |
|---|---|
| 考えられる意味 | 食事量や栄養のとり方が十分でない可能性がある目安 |
| 出典 | 厚生労働省告示 基本チェックリスト(介護保険法施行規則に基づく) |
参考: 厚生労働省告示(介護保険法施行規則に基づく「基本チェックリスト」)/厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業」
BMIの目安
厚生労働省 e-ヘルスネットによると、高齢者が当面の目標とするBMIの範囲は21.5〜24.9kg/m²です。また、BMIが20以下の「低栄養傾向」の人は、令和5年国民健康・栄養調査で65歳以上の男性12.2%、女性22.4%と報告されています。
| 低栄養傾向の目安 | BMI 20以下(e-ヘルスネット / 国民健康・栄養調査) |
|---|---|
| 高齢者の目標BMI | 21.5〜24.9(日本人の食事摂取基準2020年版を基礎とした当面の目標) |
出典: 厚生労働省ホームページ(e-ヘルスネット)「高齢者の低栄養予防」
アドバイス: 体重は週に1回、同じ条件(朝起きたとき・食事前など)で測ると変化に気づきやすくなります。減り続ける場合は早めに専門職へ相談しましょう。
たんぱく質をしっかり
たんぱく質は筋肉や体力を保つために欠かせない栄養素です。e-ヘルスネット(厚労省)は「体重を減少させない、つまり筋肉量を維持するためには、栄養素の中では特にたんぱく質の摂取が重要」としています。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、65〜74歳のたんぱく質の推奨量は男性60g/日・女性50g/日とされています。(管理栄養士監修済)
| たんぱく質を含む食品 | 肉・魚・卵・大豆製品(豆腐・納豆など)・牛乳・乳製品 |
|---|---|
| 1日の目安(65〜74歳) | 男性 60g / 女性 50g(食事摂取基準2025年版・監修済) |
| とり入れのコツ | 1日3食それぞれで、たんぱく質を含む食品を1品ずつ |
出典: 厚生労働省ホームページ 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 / e-ヘルスネット「高齢者の低栄養予防」
アドバイス: 「毎食、卵・魚・肉・大豆製品・乳製品のどれか1品」を合言葉に。食欲がないときは、豆腐・卵・牛乳などやわらかく食べやすいものから始めましょう。
「フレイル」とは
フレイルとは、加齢にともない心身の活力が低下した状態(虚弱)のことです。適切な対応をすれば元の状態に戻れるのが特徴で、予防の柱のひとつが栄養(特にたんぱく質と体重維持)です。
低栄養や体重減少はフレイルの重要なリスク要因とされています。食事量の減少・たんぱく質不足・食品の種類の減少に早めに気づき、対策することが予防につながります。
出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット / 東京都健康長寿医療センター研究所 「食品摂取多様性とフレイルの関連」
アドバイス: フレイル予防の基本は「食べる・動く・人とつながる」。食事だけでなく、散歩などの身体活動や人との交流も大切です。
水分は「こまめに」
高齢になるとのどが渇きにくくなり、水分不足(脱水)になりやすくなります。環境省の「健康のため水を飲もう」推進運動では、水分補給は「早めに・こまめに」、飲み物はコップ1杯程度(約150〜200ml)を目安に何回かに分けてとることがすすめられています。
| 飲み方の目安 | 早めに・こまめに、コップ1杯程度ずつ |
|---|---|
| とりやすいタイミング | 起床時・食事のとき・入浴後・寝る前など |
| 出典 | 環境省「健康のため水を飲もう」推進運動 |
出典: 環境省ホームページ 「健康のため水を飲もう」推進運動
アドバイス: 一度に大量に飲むのではなく、食事のたびにお茶を1杯、水分の多い汁物を1品。牛乳や乳飲料は水分とたんぱく質を一緒にとれるのでおすすめです。
噛む力・飲み込む力の低下に気づく
歯の状態や入れ歯のフィットが悪いと、硬いものを避けるようになり、食べられる食品が減って栄養が偏ることがあります。また、むせやのみ込みにくさは、食事量の減少や誤嚥のリスクにつながります。
- 噛みにくい食品はやわらかく煮る・細かくする・とろみをつけるなど調理で工夫できます。
- 入れ歯の不調があれば歯科で調整を受けることで、食べやすさが大きく改善することがあります。
- むせやのみ込みにくさが続く場合は、医師や歯科医師、言語聴覚士などの専門職への相談をおすすめします。
一人暮らしの食事のコツ
一人暮らしでは、買い物や調理の負担から食事が偏りがちです。e-ヘルスネット(厚労省)も、独居や行動範囲の低下が欠食や食品摂取の不足の要因になると指摘しています。
- 調理が大変なときは、惣菜・冷凍食品・レトルト・配食サービスを上手に使いましょう。
- 電子レンジだけで作れる「レンジ蒸し」や「卵スープ」など、手軽な調理法を取り入れましょう。
- 家族との電話や地域の集まりなど、「誰かと食べる機会」を持ちましょう。
- 買い物に不安がある場合は、地域包括支援センターや自治体の生活支援サービスに相談できます。
コラム・お役立ち記事
高齢者の食生活に関する情報を、管理栄養士監修のもとお届けしています。